授業の形態
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講義、演習又は実験
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アクティブラーニング
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学生が議論する、学生が自身の考えを発表する、学生が文献や資料を調べる
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授業内容と方法
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【はじめに】 分子細胞生物学は、地球上に存在する全ての生物の生命現象を分子レベル・細胞レベルで理解し、解明しようとする学問である。もともと医学は個体レベルで生命現象や疾病を理解する学問であったが、個体レベルから、器官レベル、さらに組織レベルへとその対象が推移してきた。そして、現在では、真にヒトの生命現象や疾病、治療法を理解するために、分子レベル・細胞レベルでの理解が不可欠となっている。 古典的な基礎医学の分野では、形態を扱う解剖学、機能を扱う生理学、物質を扱う生化学が別々の学問として研究・教育がなされてきたが、分子レベル・細胞レベルでの研究の発展により、基礎医学の内容の多くが分子細胞生物学の範疇に集約されるようになってきた。これらの変化を踏まえて、琉球大学では従来の学問体系の垣根を取り払い、9つの講座の教員が連携して、専門科目「分子細胞生物学」を開講している。 分子細胞生物学には、モデル生物の分子遺伝学に加え、組換えDNA技術、蛍光タンパク質等を用いたイメージング技術、細胞工学および生殖工学的技術、構造生物学など多くの学問分野が含まれる。近年では、ゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクスやバイオインフォマティクスの進展により、ゲノムDNA、発現RNAおよび全タンパク質の配列や代謝物を網羅的に解析し、研究や診断に利用する技術が急進展している。さらには、分子標的薬の開発、mRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチンの実用化や遺伝子治療の実用化など、分子細胞生物学の研究成果が全く新しい様相の治療法として実際の医療現場にも応用され始めている。今後もこの流れは続き、医学・医療の様相を合理的で科学的なものに激変させ続けていくであろう。
【タンパク質実習・核酸実習】 本実験実習は、「分子細胞生物学」の座学で分子細胞生物学の基礎と研究法を学んだ後に、タンパク質実験法とDNA実験法についての理解を深め、手技を習得するために行う。履修者が5~6人ずつの班に分かれ、班員全員が協力して実験結果を出すことで課題の結論が導かれる内容になっているため、各自が責任を持って自身の役割を着実に果たすことが求められる。 本実習において、他の班員と共同で実験を行って実験結果について討論することにより、コミュニケーション能力と科学的な洞察力を涵養する。さらに、実験の目的、材料と方法、結果、考察を備えたレポートの執筆法を学修し実践する。自己や他の班員についての定量的・定性的評価(ピアレビュー)とそのフィードバックも体験する。 タンパク質実習:タンパク質解析の基礎的な実験であるドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)とウェスタンブロット法の原理を理解し、手技を習得する。実験材料とする免疫グロブリンの分子構造について学習し、タンパク質のドメイン構造についての理解を深める。 核酸実習:遺伝子解析の基礎的な実験であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、DNAの制限酵素消化法とアガロース電気泳動法の原理を理解し、手技を習得する。塩基配列情報可視化ソフトウェアの簡単な使用方法を習得する。ヒトのABO血液型がABO遺伝子の多型で決まるしくみを理解する。 大講義室での一方向的な講義形式の学修とは異なり、実習においては教員や他の履修者と密接に接する機会があることから、新鮮な学修体験となることを期待する。実習開始の2週間前のオリエンテーションで実習書を配布し、実習の冒頭で事前準備確認テストを行うので、実習内容について十分に事前学習してから臨むこと。
【生命科学論文演習】 本演習では、「分子細胞生物学」の学修の集大成として、今日の先端的な研究の発展の上で重要な役割を果たしてきた5本の英文原著論文のいずれかを5~6人ずつの班に分かれて読解し、その研究内容と今日の医学・生命科学への影響について、班ごとにプレゼンテーションする。 演習開始のおよそ一月前のオリエンテーションで、班ごとに集まって希望する論文を選択する。それぞれの論文を読解するために必要な事前学習資料を併せて配布するので、演習までに各自で学習する。論文演習の冒頭で事前準備確認テストを行う。 論文読解を通じて、原著論文の基本構成を理解する。そして、生命現象を遺伝子、RNA、タンパク質、細胞などの視点から多面的に捉える訓練を行い、講義で学んだ知識の統合と定着を図る。それぞれの論文における著者らの主張の論理を理解し、提示された結果から導かれる結論を自ら批判的に判断、評価できるようになることを目指す。さらに、生命科学の真理を解いてきた研究者が、問題点をどのように捉え、どのような論理および実験によってそれらを解明しようとしたのかを擬似的に体験する。このような論文読解過程における各履修者の貢献について、ピアレビューを行う。 プレゼンテーションの作成と発表を通じて、スライド作成、発表、質疑応答の技術を習得し実践する。正確で論理的なスライドや発表原稿を作成する過程で論文の内容をさらに深く理解し、より論理的で解りやすいプレゼンテーションを作成するために班員どうしで建設的にアイデアを出し合うことで、コミュニケーション能力を高める。聴衆からの質疑に回答したり他の班の発表を聴いたりすることを通じて、自分の専門知識を一般市民に向けて解りやすく説明することの重要性を理解する。プレゼンテーション作成過程における各履修者の貢献について、ピアレビューを行う。
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URGCC学習教育目標
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自律性、社会性、地域・国際性、コミュニケーション・スキル、情報リテラシー、問題解決力、専門性
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達成目標
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【卒業時コンピテンス・URGCCとの対応関係】 1. 医療の質の向上のために絶えず省察し同僚と共に研鑽しながら生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲をもって、事前学習、講義、事後学習、試験、実習・演習に臨むことができる。 [U.自律性]『C I.プロフェッショナリズム』 2. 適切な自己評価ができ、自分に必要な課題を自分の力で発見し、重要性・必要性に照らして順位付けして、改善のための具体的方策を立て、自己学習によってそれを解決することができる。 [U.自律性][U.情報リテラシー][U.問題解決力]『C I.プロフェッショナリズム』 3. 自分の能力の限界を認識し、他の学修者や教員と協力して、よりよい解決方法を見出すことができる。 [U.自律性][U.コミュニケーション・スキル][U.問題解決力] 『C I.プロフェッショナリズム』『C IV.コミュニケーション能力』 4. 医学・医療の進歩と改善に資するために研究を遂行する意欲と基礎的素養を身に付け、講義・実習で得られた情報を統合し、客観的・批判的に整理して、課題の解決に向けて自分の考えを論理的に分かりやすく表現できる。 [U.コミュニケーション・スキル][U.情報リテラシー][U.問題解決力][U.専門性] 『C I.プロフェッショナリズム』『C IV.コミュニケーション能力』『C VII.科学的探究』 5. アミノ酸、単糖類、ヌクレオチド、脂質、ビタミン等の低分子や、タンパク質、多糖、核酸等の高分子の種類、構造、機能について説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 6. 生体内における低分子から高分子、あるいはその逆の化学的変化の過程を説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 7. 核、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体、リボソーム、リソソーム、ペルオキシソームの構造、機能、形成過程について説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 8. ゲノムの構造と遺伝子発現機構について、分子レベルで説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 9. 分子細胞生物学の研究方法の原理を説明でき、実験結果を正しく解釈して説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』『C VII.科学的探求』 10. 細胞膜の物理学的性質を理解し、静止膜電位を説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 11. 生体のエネルギー源やエネルギーの産生方法について、分子レベルで説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 12. 細胞間および細胞内の情報伝達機構と細胞の機能変化を、分子レベルで説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 13. 筋肉の収縮機構について、分子レベルで説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 14. 細胞間接着の形態や機能の特徴を、関与する分子と関連づけて説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 15. 細胞周期を、形態や細胞内分子の変化と関連づけて説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 16. 幹細胞の性質や分化時の形態や機能の変化を、細胞内分子と関連づけて説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 17. 神経系の細胞の種類と機能を説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 18. 免疫系の細胞の種類と機能を説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 19. 癌細胞の特徴を、遺伝子変異や細胞内分子の変化と関連づけて説明できる。 [U.問題解決力][U.専門性]『C II.医学知識』 20. 分子細胞生物学の実験をグループで共同して実施し、結果を解釈して結論を論理的に説明できる。 [U.コミュニケーション・スキル][U.問題解決力][U.専門性] 『C II.医学知識』『C IV.コミュニケーション能力』『C VII.科学的探求』 21. バイオインフォマティクスのツールを有効に活用できる。 [U.自律性][U.情報リテラシー][U.専門性]『C II.医学知識』『C VII.科学的探求』 22. 分子細胞生物学に関連する英語の原著論文をグループで共同して読解し、内容を正確に理解して、スライドを用いて論理的にプレゼンテーションし、討論できる。 [U.社会性][U.情報リテラシー][U.問題解決力][U.専門性][U.地域・国際性] 『C II.医学知識』『C IV.コミュニケーション能力』『C VI.国際性』『C VII.科学的探求』 23. 分子細胞生物学の研究成果が今日の医学・生命科学に与えている影響をグループで共同して調査し、聴衆にわかりやすく説明できる。 [U.社会性][U.情報リテラシー][U.問題解決力][U.専門性][U.地域・国際性] 『C II.医学知識』『C IV.コミュニケーション能力』『C VI.国際性』
【医学教育モデル・コア・カリキュラムでの位置づけ】 A 医師として求められる基本的な資質・能力 A-1 プロフェッショナリズム 人の命に深く関わり健康を守るという医師の職責を十分に自覚し、患者中心の医療を実践しながら、医師としての道(みち)を究めていく。 A-2 医学知識と問題対応能力 発展し続ける医学の中で必要な知識を身に付け、根拠に基づいた医療(evidence-based medicine )を基盤に、経験も踏まえながら、幅広い症候・病態・疾患に対応する。 A-2-1) 課題探求・解決能力 ねらい:自分の力で課題を発見し、自己学習によってそれを解決するための能力を獲得する。 ①必要な課題を自ら発見できる。 ②自分に必要な課題を、重要性・必要性に照らして順位付けできる。 ③課題を解決する具体的な方法を発見し、課題を解決できる。 ④課題の解決に当たり、他の学修者や教員と協力してよりよい解決方法を見出すことができる。 ⑤適切な自己評価ができ、改善のための具体的方策を立てることができる。 A-2-2) 学修の在り方 ねらい:科学や社会の中で医学・医療だけでなく様々な情報を客観的・批判的に取捨選択して統合整理し、表現する基本的能力(知識、技能、態度・行動)・リベラルアーツを獲得する。 ①講義、国内外の教科書・論文、検索情報等の内容について、重要事項や問題点を抽出できる。 ②得られた情報を統合し、客観的・批判的に整理して自分の考えを分かりやすく表現できる。 ③実験・実習の内容を決められた様式に従って文書と口頭で発表できる。 ④後輩等への適切な指導が実践できる。 ⑤各自の興味に応じて選択制カリキュラム(医学研究等)に参加する。 A-4 コミュニケーション能力 患者の心理・社会的背景を踏まえながら、患者及びその家族と良好な関係性を築き、意思決定を支援する。 A-4-1) コミュニケーション ねらい:医療内容を分かりやすく説明する等、患者やその家族との対話を通じて、良好な人間関係を築くためのコミュニケーション能力を有する。 ①コミュニケーションの方法と技能(言語的と非言語的)を説明し、コミュニケーションが態度あるいは行動に及ぼす影響を概説できる。 ②コミュニケーションを通じて良好な人間関係を築くことができる。 A-5 チーム医療の実践 保健・医療・福祉・介護及び患者に関わる全ての人々の役割を理解し、連携する。 A-5-1) 患者中心のチーム医療 ねらい:医療チームの構成員として、相互の尊重のもとに適切な行動をとるとともに、後輩等に対する指導を行う。 ①チーム医療の意義を説明できる。 ②医療チームの構成や各構成員(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、その他の医療職)の役割分担と連携・責任体制を説明し、チームの一員として参加できる。 ③自分の能力の限界を認識し、必要に応じて他の医療従事者に援助を求めることができる。 A-8 科学的探究 医学・医療の発展のための医学研究の必要性を十分に理解し、批判的思考も身に付けながら、学術・研究活動に関与する。 A-8-1) 医学研究への志向の涵養 ねらい:医学・医療の進歩と改善に資するために研究を遂行する意欲と基礎的素養を有する。 ①研究は、医学・医療の発展や患者の利益の増進を目的として行われるべきことを説明できる。 ②生命科学の講義・実習で得た知識を基に、診療で経験した病態の解析ができる。 ③患者や疾患の分析を基に、教科書・論文等から最新の情報を検索・整理統合し、疾患の理解・診断・治療の深化につなげることができる。 ④抽出した医学・医療情報から新たな仮説を設定し、解決に向けて科学的研究(臨床研究、疫学研究、生命科学研究等)に参加することができる。 A-9 生涯にわたって共に学ぶ姿勢 医療の質の向上のために絶えず省察し、他の医師・医療者と共に研鑽しながら、生涯にわたって自律的に学び続ける。 A-9-1) 生涯学習への準備 ねらい:キャリアを意識し、生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲と態度を有する。 ①生涯学習の重要性を説明できる。 ②生涯にわたる継続的学習に必要な情報を収集できる。 ③キャリア開発能力を獲得する。 ④キャリアステージにより求められる能力に異なるニーズがあることを理解する。
C 医学一般 C-1 生命現象の科学 C-1-1) 生命の最小単位-細胞 ねらい:細胞の構造とその様々な働きとともに、遺伝子からタンパクへの流れに基づく生命現象を学び、遺伝子工学の手法と応用やヒトゲノムの解析を理解する。 C-1-1)-(1) 細胞の構造と機能 ①細胞の観察法を説明できる。 ②細胞の全体像を図示できる。 ③核とリボソームの構造と機能を説明できる。 ④小胞体、ゴルジ体、リソソーム等の細胞内膜系の構造と機能を説明できる。 ⑤ミトコンドリア、葉緑体の構造と機能を説明できる。 ⑥細胞骨格の種類とその構造と機能を概説できる。 ⑦細胞膜の構造と機能、細胞同士の接着と結合様式を説明できる。 ⑧原核細胞と真核細胞の特徴を説明できる。 C-1-1)-(2) ゲノム・染色体・遺伝子 ①Mendel の法則、ミトコンドリア遺伝、インプリンティング及び多因子遺伝を説明できる。 ②遺伝型と表現型の関係を説明できる。 ③染色体の構造を概説し、ゲノムと染色体及び遺伝子の構造と関係性、体細胞分裂及び減数分裂における染色体の挙動を説明できる。 ④DNAの複製と修復を概説できる。 ⑤DNAからRNAへの転写、タンパク質合成に至る翻訳を含む遺伝情報の発現及び調節(セントラルドグマ)を説明できる。 ⑥染色体分析・DNA 配列決定を含むゲノム解析技術を概説できる。 C-1-2) 生物の進化 ねらい:生物の進化を知り、比較生物学的な見地から動物の体のつくりとはたらきを学ぶ。 C-1-2)-(1) 生物の進化 ①進化の基本的な考え方を説明できる。 ②生物種とその系統関係を概説できる。 ③アミノ酸配列や塩基配列の比較による分子系統樹を概説できる。 C-2 個体の構成と機能 C-2-1) 細胞の構成と機能 ねらい:細胞の微細構造と機能を理解する。 C-2-1)-(1) 細胞膜 ①細胞内液・外液のイオン組成、浸透圧と静止(膜)電位を説明できる。 ②膜のイオンチャネル、ポンプ、受容体と酵素の機能を概説できる。 ③細胞膜を介する物質の能動・受動輸送過程を説明できる。 ④細胞膜を介する分泌と吸収の過程を説明できる。 C-2-1)-(2) 細胞骨格と細胞運動 ①細胞骨格を構成するタンパク質とその機能を概説できる。 ②アクチンフィラメント系による細胞運動を説明できる。 ③細胞内輸送システムを説明できる。 ④微小管の役割や機能を説明できる。 C-2-2) 組織・各臓器の構成、機能と位置関係 ねらい:細胞集団としての組織・臓器の構成、機能分化と方向用語を理解する。 C-2-2)-(1) 組織・各臓器の構造と機能 ②支持組織を構成する細胞と細胞間質(線維成分と基質)を説明できる。 ④神経組織の微細構造を説明できる。 ⑤筋組織について、骨格筋、心筋、平滑筋の構造と機能を対比して説明できる。 C-2-3) 個体の調節機構とホメオスタシス ねらい:生体の恒常性を維持するための情報伝達と生体防御の機序を理解する。 C-2-3)-(1) 情報伝達の基本 ①情報伝達の種類と機能を説明できる。 ②受容体による情報伝達の機序を説明できる。 ③細胞内シグナル伝達過程を説明できる。 C-2-3)-(2) 神経による情報伝達の基礎 ①活動電位の発生機構と伝導を説明できる。 ②シナプス(神経筋接合部を含む)の形態とシナプス伝達の機能(興奮性、抑制性)と可塑性を説明できる。 C-2-3)-(3) 生体防御の機序 ①生体の非特異的防御機構を説明できる。 ②特異的防御機構である免疫系の役割を説明できる。 ③体液性と細胞性免疫応答を説明できる。 C-2-3)-(4) ホメオスタシス ①生体の恒常性維持と適応を説明できる。 ②恒常性維持のための調節機構(ネガティブフィードバック調節)を説明できる。 ③生体機能や体内環境のリズム性変化を説明できる。 ⑤運動生理学など、身体活動時の神経・骨格筋、循環器、代謝系の変化を説明できる。 C-2-4) 個体の発生 ねらい:個体と器官が形成される発生過程を理解する。 ①配偶子の形成から出生に至る一連の経過と胚形成の全体像を説明できる。 C-2-5) 生体物質の代謝 ねらい:生体物質の代謝の動態を理解する。 ①酵素の機能と調節を説明できる。 ②解糖の経路と調節機構を説明できる。 ③クエン酸回路を説明できる。 ④電子伝達系と酸化的リン酸化を説明できる。 ⑤糖新生の経路と調節機構を説明できる。 ⑥グリコーゲンの合成と分解の経路を説明できる。 ⑦五炭糖リン酸回路の意義を説明できる。 ⑧脂質の合成と分解を説明できる。 ⑨リポタンパクの構造と代謝を説明できる。 ⑩タンパク質の合成と分解を説明できる。 ⑪アミノ酸の異化と尿素合成の経路を概説できる。 ⑫ヘム・ポルフィリンの代謝を説明できる。 ⑬ヌクレオチドの合成・異化・再利用経路を説明できる。 ⑭酸化ストレス(フリーラジカル、活性酸素)の発生と作用を説明できる。 ⑮ビタミン、微量元素の種類と作用を説明できる。 ⑯エネルギー代謝(エネルギーの定義、食品中のエネルギー値、エネルギー消費量、推定エネルギー必要量)を理解し、空腹(飢餓)時、食後(過食時)と運動時における代謝を説明できる。 C-3 個体の反応 C-3-2) 免疫と生体防御 ねらい:免疫系の機構を分子レベルで理解し、病原体に対する免疫反応、主な自己免疫疾患、先天性及び後天性免疫不全症候群と癌細胞に対する免疫系の反応を理解する。 C-3-2)-(1) 免疫系の一般特性 ①生体防御機構における免疫系の特徴(特異性、多様性、寛容、記憶)を説明できる。 ②免疫反応に関わる組織と細胞を説明できる。 ③免疫学的自己の確立と破綻を説明できる。 ④自然免疫と獲得免疫の違いを説明できる。 C-4 病因と病態 C-4-1) 遺伝的多様性と疾患 ねらい:ゲノム・染色体・遺伝子の多様性と疾患との関連を理解する。 ①ゲノムの多様性に基づく個体の多様性を説明できる。 ②単一遺伝子疾患の遺伝様式を説明し、代表的な疾患を列挙できる。 ④ミトコンドリア遺伝子の変異による疾患を挙げ、概説できる。 ⑤エピゲノムの機序及び関連する疾患を概説できる。 C-4-2) 細胞傷害・変性と細胞死 ねらい:細胞傷害・変性と細胞死の病因と細胞・組織の形態的変化を理解する。 ①細胞傷害・変性と細胞死の多様性、病因と意義を説明できる。 ②細胞傷害・変性と細胞死の細胞と組織の形態的変化の特徴を説明できる。 ③ネクローシスとアポトーシスの違いを説明できる。 C-4-3) 代謝障害 ねらい:糖、タンパク質、脂質等の代謝異常によって生じる多様な疾患を理解する。 ①糖代謝異常の病態を説明できる。 ②タンパク質・アミノ酸代謝異常の病態を説明できる。 ③脂質代謝異常の病態を説明できる。 ④核酸・ヌクレオチド代謝異常の病態を説明できる。 ⑤ビタミン、微量元素の代謝異常の病態を説明できる。 ⑥肥満に起因する代謝障害の病態を説明できる。 C-4-6) 腫瘍 ねらい:発癌のメカニズムと、病態を理解する。 ①自律性の増殖と、良性腫瘍と悪性腫瘍の違いを説明できる。 ②癌の原因や遺伝子変化を説明できる。
D 人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療 D-1 血液・造血器・リンパ系 ねらい:血液・造血器・リンパ系の構造と機能を理解し、主な疾患の病因、病態生理、症候、診断と治療を学ぶ。 D-1-1) 構造と機能 ⑥赤血球とヘモグロビンの構造と機能を説明できる。 D-12 内分泌・栄養・代謝系 ねらい:内分泌・代謝系の構成と機能を理解し、主な内分泌・代謝疾患の病因、病態生理、症候、診断と治療を学ぶ。 D-12-1) 構造と機能 ①ホルモンを構造から分類し作用機序と分泌調節機能を説明できる。 ②各内分泌器官の位置を図示し、そこから分泌されるホルモンを列挙できる。 ③視床下部ホルモン・下垂体ホルモンの名称、作用と相互関係を説明できる。 ④甲状腺と副甲状腺(上皮小体)から分泌されるホルモンの作用と分泌調節機構を説明できる。 ⑤副腎の構造と分泌されるホルモンの作用と分泌調節機構を説明できる。 ⑥膵島から分泌されるホルモンの作用を説明できる。 ⑦男性ホルモン・女性ホルモンの合成・代謝経路と作用を説明できる。 ⑧三大栄養素、ビタミン、微量元素の消化吸収と栄養素の生物学的利用効率を説明できる。 ⑨糖質・タンパク質・脂質の代謝経路と相互作用を説明できる。
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評価基準と評価方法
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1. 講義内容については、期間中に4回の中間試験を行う。それぞれの試験範囲は、webclassで配布の予定表を参照すること。中間試験毎に、必要に応じて学生指導を行う。 [問題解決力の評価][専門性の評価] 2. 実験実習および論文演習については、オリエンテーションを含むすべてのコマへの参加、および実習レポートの提出を必須とする。出席状況、グループワーク形式の実習・演習への参加態度、班員からの相互評価、事前準備確認テストの成績、実習レポートの内容、演習プレゼンテーションの内容で評価する。 [問題解決力の評価][専門性の評価][自律性の評価][社会性の評価][情報リテラシーの評価] 3. 講義の出席確認は、原則としてWebClassを通じてオンラインで行う。 4. 実習・演習の出席確認は、原則として対面で行う。やむを得ず欠席する場合は、事前に担当教員に連絡の上、欠席理由を説明できる書類を提出すること。無断の遅刻・欠席は厳しく減点する。 5. 4回の中間試験と実習・演習の点数配分はそれぞれ20%とするが、試験範囲のコマ数に応じて調整する場合がある。実習・演習の必須要件を満たした上で総合成績が60点以上を合格とする。 6. 成績不服申立期間は、成績発表後1週間とする。
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履修条件
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特になし
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授業計画
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WebClassで配布する予定表を参照すること。
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事前学習
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指定教科書と配付資料を使用した事前学習を推奨する。
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事後学習
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指定教科書と配付資料および小テストを活用した事後学習を推奨する。
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教科書にかかわる情報
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9781319208523
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9th ed., Paperback ルーズリーフ版ISBN: 9781319365493 E-book版ISBN: 9781319365028 Achieve版ISBN: 9781319365059・9781319426729
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Harvey Lodish ... [et al.]
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W.H. Freeman
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2021
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978-4-621-30169-2
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第4版 電子書籍(日本語・英語版)付 原書は6th ed.(→参考書欄)
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John W.Baynes, Marek H.Dominiczak原著 ; 谷口直之 [ほか] 監訳
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エルゼビア・ジャパン
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2018
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教科書全体備考
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特記事項なし
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参考書にかかわる情報
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9784807909766
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第8版 原書は9th ed. (→教科書欄)
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H. Lodish [ほか著] ; 榎森康文 [ほか] 訳
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東京化学同人
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2019
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978-0-393-88485-2
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7th ed. 日本語「細胞の分子生物学」は第6版
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Bruce Alberts ... [et al.] ; with problems by John Wilson, Tim Hunt
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W.W. Norton & Company
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2022
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978-0323834506
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6th ed.
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John W. Baynes, Marek H. Dominiczak
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Elsevier
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2022
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9784061562547
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亀田和久著
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講談社
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2012
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9784758113540
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栄養科学イラストレイテッド
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薗田勝編
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羊土社
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2018
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978-4-06-520173-2
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休み時間シリーズ
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黒田裕樹著
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講談社
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2021
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参考書全体備考
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特記事項なし
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使用言語
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日本語
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メッセージ
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本学で医学生となったみなさんにとって、「分子細胞生物学」が最初の専門科目となる。文部科学省の「医学教育モデル・コア・カリキュラム」で医学生が学修すべきものの筆頭に挙げられている「医師として求められる基本的な資質・能力」には「医学研究への志向の涵養」と「生涯にわたって共に学ぶ姿勢」が明記されている。発展し続ける医学の中で必要な知識を身に付けながら生涯にわたって根拠に基づいた医療を実践する医療者や研究者となるために、「分子細胞生物学」の講義と実習・演習を通じて自身の「学修の在り方」をも確立し、医学生としての着実なスタートを切ってもらいたい。講義は、英語の分子細胞生物学の教科書と日本語の生化学の教科書を併用して行われる。英語の文章に臆せずに、すべての医学教育過程の礎となる「分子細胞生物学」を学修することを願っている。
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オフィスアワー
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時期に応じて更新される場合がある。最終更新日に留意すること。[最終更新日 2023/04/05]
医化学講座:平日 13:00〜17:00 生化学講座:平日 09:00〜17:00 先進医療創生科学講座:調整中 分子解剖学講座:平日 09:00〜16:00 ゲノム医科学講座:火曜日 12:50〜15:00 分子・細胞生理学講座:火曜日 16:15〜17:15 システム生理学講座:平日 08:30〜12:00 再生医学講座:平日 11:50〜12:50 免疫学・寄生虫学病講座:調整中
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メールアドレス
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