タイトル

科目番号 教室 登録人数 履修登録方法 対面/遠隔
全教241   [水6]教育実践棟AB教室   95   抽選対象   対面授業  
開講年度 期間 曜日時限 開講学部等
2016 後学期 水6 教育学部共通  
講義コード 科目名[英文名] 単位数
30598302 生徒指導 02組   2  
担当教員[ローマ字表記]
喜屋武 幸  
授業の形態
 
 
アクティブラーニング
 
 
授業内容と方法
 今日学校現場で使用されている生徒指導という用語は、戦後の教育改革の過程で、行政を中心に使用されるようになった用語である。それ以前は生活指導という用語を主に使用していた。生活指導という用語は、戦前の軍国主義教育の中でも、「子どもが学校の主人公」という信念に基づき、民主主義教育を追求する教師たちによって自然発生的に使用されるようになったといわれている。
 生徒指導と生活指導という用語の背景には、子ども観や教育観、指導方法などにおいて考え方に違いが存在する。生徒指導には管理的・画一的に指導するという側面が見られる。一方「生活指導」では、子どもの基本的人権を尊重し、子どもの権利条約が目指す子ども観、そして権利行主体としての子どもの存在を大事にする教育観が根底にあるといわれている。本講義では、主に「生活指導」という視点から、子どもの指導のあり方を考える。
 生活指導は、教師が子どもの生活現実と向き合い、子どもと共に生活改善を通して人間的発達と自立をめざし、子ども一人ひとりを励ましていく教育実践のことである。教師として生きようとする以上、子どもの生活実態は常に教育実践の場であり、逃げ出すわけにいかない現実として受け止めなくてはいけない。
 近年、子どもの実相に目を向けると、子どもの貧困、いじめや不登校、虐待、引きこもりなど、問題行動の低年齢化、家族などの親密圏で起こっている凶悪犯罪など、子どもは厳しい環境のもとでの生活を余儀なくされている。一人ひとりの子どもが、どうすれば個々の発達課題を達成し、人間的成長と自立の能力を開発・獲得することができるか、すべての大人が共通に抱える時代的課題と受け止めたい。
 本講義は、こうした時代の構図を視野に入れ、子どもを生活主体・発達主体・権利主体ととらえ、一人ひとりの子どもの発達保障をどのように実現するかを、全体討論を通して各テーマに迫ります。
 講義は、三部構成で行われます。<第一部>は、教育としての生活指導全般を俯瞰しながら、生活指導に対してのイメージをふくらませるために、3回にわたって講義形式で行います。具体的には、①生活指導とは何を教えるのか(教育内容)、②学校を再生させるための生活指導実践の方法と課題(学校再生)、③生活指導における共同と自治(集団づくり)である。<第二部>は、具体的な教育課題をテーマに取り上げる。「学級の問題」「子どもの権利の問題」「体罰の問題」「学びの問題」「発達障害」「子どもの虐待」などを取り上げ議論します。<第三部>は、実際に現場で行われている中学校、高等学校の生活指導実践を検討します。中学校の実践については、講義者(喜屋武幸)実践を公開し、批判的に検討してもらいます。高等学校の実践については、ゲストティーチャーとして高校教師をお招きし実践報告してもらいます。中学校、高等学校が抱える発達課題、実践スタイルの違いを比較・検討しながら、生活指導実践をより具体的に学びます。
 
URGCC学習教育目標
 
 
達成目標
【知識・理解】 

・生徒指導の概念、歴史的変遷を理解し説明することができる。
 ・生徒指導の教育内容について、学校教育全体における位置づけを理解する。
・子どもの権利条約など、世界の教育の趨勢を理解しこれからの日本の教育のあり方を構想できる。
・発達障害や虐待など、特別な支援を必要とする子どもたちへの専門的な知見を有し、説明できる。
・子どもにとって生活づくりと学習(学び)が発達の両輪であることを理解する。

【思考・判断】

 ・毎時のテーマについて、深く考えることができる。
 ・授業終了後、授業記録シートに自分の考えを整理しまとめることができる。
・事前に与えられた資料を読みこなし、自分の見解をもって講義に参加する。
・他者の意見を丁寧に聞き取り、自分との共通点、相違点を理解することができる。

【技能・表現】

 ・教育学はもとより一般諸科学の領域を土台に、教育の様々な事象を分析し表現できる。
 ・他者と課題を共有し、討議・討論を通して真理を探究する態度が見られる。
 ・教育の問題について、自ら調査し、まとめ、プレゼンテーションすることができる。
 ・教育実践記録を批判的に読み解き、自分なりに工夫・創造し実践を構想できる。

【関心・意欲】

 ・常に子どもの置かれた環境(家庭・学校・地域)に関心をもち、改善しようとする意欲をもつ。
・教育ボランティアなど、子どもと積極的に関わろうとする態度がみられる。
 ・教師になりたちという強い希望と、教育に夢をもち、意欲的に学ぶ姿勢がある。

 
評価基準と評価方法
【出席の重視】3分の1以上の欠席者には、単位は与えられません。

 本講義は、講義者と学生、学生通しの対話と討論を中心とした授業である。その前提にあるのは授業への参加である。他者との対話を通して自分を見つめ、全体討論を通して再度自己と向き合って考えることが重要である

【発表・討論】班でレジュメ作成・発表・討論の進行(20%)

 授業は班を中心に進められます。班の役割は、割り当てられた資料を読み発表用レジュメを作成する。そして司会進行等も努めながら論点を立て、有意義な討論になるような 工夫が求めらる。

【授業記録用紙記入】毎時間授業記録用紙を記入(10%)

 授業記録用紙は、毎時間のテーマについて自分の意見をまとめるものです。そこには、討論における自分の果たした役割、発言した回数などが記録される。

【レポート】小レポートが4回(20%)

 まとめのレポートが2回、実践分析レポートが2回。計4つのレポートがあります。自分の考えを整理し、次の課題へ生かしていきます。

【期末テスト】A問題:知識を問う問題(25%)、B問題:小論文(25%)、

 講義は14のテーマについて学びます。期末テストは、学んだことがどの程度定着した、かその専門的知識に基づき、生活指導について度深く考えることができたかを問いま す。(教育観、子ども観、人間観などの観がどのように深まったか)。
 
履修条件
特になし
 
授業計画
1回目【ガイダンス】生活指導における学校課題を共有する。

2回目【生活指導の教育内容、生徒指導は何を育てるのか】
   ・子どもの生活・活動を豊かにすることの意味はなにか
・生徒指導と子どもの発達

3回目【学校再生と生活指導の課題】
・中学生問題とはなにか
・生徒指導と学校行事

4回目【学級集団づくりをどう進めるか】
・学級集団づくりとはなにか
・学級集団のいじめの構造
・学級集団づくりの指導構想

5回目【DVD視聴(生活指導のイメージをふくらませる)】
・映像を通して生活指導実践原理を考える
・討論の準備としての班編成

6回目【現代の子どもの抱える生きづらさと生活指導】    
・子どもとともに生きる教師であるために、今、求められているもの
・今日の子どもたちの抱える生きづらさや葛藤をどう理解するのか
・個人指導-子どもとつながる
・子どもたちをつなげる、子どもたちがつながる-関係性への指導

7回目【子どもの権利と生活指導】
・子どもの権利宣言から子どもの権利条約へ
・子どもの権利と校則
・子どもの権利自覚、権利行使主体としての子ども

8回目【懲戒・体罰と生活指導】
   ・体罰裁判から教師の体罰の正当性について考える。
   ・懲戒・体罰とはなにか
・生活指導と体罰
・校則と体罰

9回目【生活指導と授業~学びから世界参加へ】
・授業と生活指導の課題
・現実を再定義する「学び」と授業
・権利としての「参加」に開かれた「学び」をつくる

10回目【生活指導におけるケアと自治】
・現代的貧困と「教育改革」
・生活指導・集団づくりのケア的転回
・自治的集団づくりをとらえ直す

11回目【発達障害児の理解と生活指導】
   ・行動の背景にある障害の理解
   ・発達障害児の生きづらさ
・インクルーシブ教育と特別支援教育

12回目【子どもの虐待と生徒指導】
   ・児童虐待とはなにか
・逆手いて期間教の中の子ども
・被虐待児に対する指導、援助の課題
13回目【実践分析1(中学校の実践を検討する)】
・喜屋武 幸実践を分析

14回目【実践分析2(高校の実践を検討する)】
・高校の実践に迫る。

15回目【市民的自立の課題と教師の指導性】
・市民とはなにか
・市民的自立を励ます教育実践
・市民的課題、「共生」の世界を立ち上げる

16回目【期末テスト】
 
事前学習
・資料をしっかり読みこなして授業に参加してください。
・毎時のテーマについて、自分なりの見解をもち、討論を通して他者と交流しましょう。
 
事後学習
・毎時間、授業記録カードを記入し、それぞれのテーマについて自分の見解をまとめよう。
・疑問に思ったことや、議論になった課題などを振り返って、それらを復習や発展させるようにしよう。
 
教科書にかかわる情報
 
教科書全体備考
・教科書は特に使用しない。毎時間資料を配付する。
 
参考書にかかわる情報
参考書 書名
『生活指導とは何か』
ISBN
備考
著者名
竹内 常一
出版社
高文研
出版年
2015
NCID
参考書 書名
『生活指導』
ISBN
備考
著者名
折出 健二
出版社
学文社
出版年
2008
NCID
参考書 書名
『教育社会学』
ISBN
備考
著者名
久冨善之
出版社
学文社
出版年
2008
NCID
 
参考書全体備考
 
 
使用言語
日本語
 
メッセージ
I understand what you mean,but it doesn't make sense
(おっしゃる意味はよくわかる。しかしどうも変だ)という感性をもとう
 
オフィスアワー
講義終了後、必要に応じて設けます。
 
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