タイトル

科目番号 教室 登録人数 履修登録方法 対面/遠隔
社642   [木2]法新213       抽選対象   対面授業  
開講年度 期間 曜日時限 開講学部等
2019 前学期 木2 教育学部  
講義コード 科目名[英文名] 単位数
306392001 地域経営論   2  
担当教員[ローマ字表記]
島袋 純  
授業の形態
講義
 
アクティブラーニング
学生が議論する、学生が自身の考えを発表する、学生が文献や資料を調べる
 
授業内容と方法
地域経営論は、住民起点、あるいは住民参加の公共政策に関するPDCA(又はPDS)経営サイクルの構築、こそが地域経営の肝要という趣旨の授業。

1、沖縄県では、内閣府沖縄担当部局が、補助の交付を決定し、予算編成を行う、沖縄振興一括交付金(沖縄振興特別推進交付金)事業について、PDCA経営サイクルを回していくための制度が構築されている。その制度の理解を進める。
2、沖縄振興計画及び実施計画上の課題・施策の体系を把握し、それぞれの事業が目標としている具体的な計画上の課題との結びつきを理解し、県の一括交付金に関するPDCA報告書の読み方を理解する。
3、自らの住む自治体の一括交付金事業について、評価シートを読み込み、自治体に評価を再検討し、自治体のその事業に対する評価を批判的に考察し自分なりのその事業に対する評価をレポートとして再提出する。(4月末までに)
5、国連の持続可能な開発目標(SDGs)による、各国政府、自治体、企業等が達成すべき世界共通の目標が生み出された経緯、何を求めているかという点、人権保障が本質である点を理解する。
6、SDGsの達成のための政策形成の基本をワークショップで学ぶ。金沢工業大学の開発したSDGsカードゲームを、SDGs政策形成能力向上のための導入とする。
7、SDGs17目標と、達成状況を把握する169ターゲット及び230指標を理解する。

SDGsも、目標管理型の経営サイクルシステムで、指標によって目標の達成具合を診ていくものなので、まずは、県庁のHPをみて、県の一括交付金事業と、自分の市町村の一括交付金事業を一つピックアップしてもらい、県のPDCA報告書からその事業の評価を読み込んで、批判させる、ということから授業を開始する。
 
URGCC学習教育目標
自律性、情報リテラシー、問題解決力、専門性
 
達成目標
地域経営論の授業を受講することによって達成される教育効果は、以下のとおりである。

1、内閣府沖縄担当部局の仕組みと役割を理解することができる。沖縄振興一括交付金(沖縄振興特別推進交付金)事業について、PDCAサイクルの制度が理解できている。
2、沖縄振興計画及び実施計画上の課題・施策の体系を把握し、それぞれの事業が目標としている具体的な計画上の課題との結びつきを理解し、県の一括交付金に関するPDCA報告書の読み方を理解している。
3、自らの住む自治体の一括交付金事業について、評価シートを読み込み、自治体に評価を再検討し、自治体のその事業に対する評価を批判的に考察し自分なりのその事業に対する評価をおこなうことができる。政策形成についての思考力と判断力を習得する。
5、国連の持続可能な開発目標(SDGs)による、各国政府、自治体、企業等が達成すべき世界共通の目標が生み出された経緯、何を求めているかという点、人権保障が本質である点を理解できている。
6、SDGsの達成のための政策形成の基本をワークショップで習得している。金沢工業大学の開発したSDGsカードゲームを、SDGs政策形成能力向上のための学ぶことができる。政策形成の技能と説明能力を習得することができる。
7、SDGs17目標と、達成状況を把握する169ターゲット及び230指標を理解する。目標管理型の経営サイクルの構築について、習得した知識と技術を用いて意欲的に再構成し表現できる。

 
評価基準と評価方法
1、目標管理型の経営システムに関する知識を理解し、2、その目標を達成するための政策形成の具体的な技法を習得しているかどうかを評価対象とする。そのため、レポートにおいて、経営システムの理解と知識の習得が進んでいるかを評価し、同時に、実例を用いた政策評価の具体的な実践、報告を通して、技能が習得できるかを評価対象とする。
 
履修条件
「地方自治論」もしくは「地方財政論」の授業を受講終了済みが望ましい。
 
授業計画
授業計画は以下のとおりである。

1、オリエンテーション:授業者紹介、授業の内容、方法、成績の評価基準等、オリエンテーション
2、沖縄の財政システムと政府間財政関係。
3、沖縄振興体制と沖縄振興一括交付金について
4、沖縄振興特別推進交付金とPDCA経営サイクル
5、沖縄振興計画、実施計画と沖縄県の評価シートの読み方
6、目標管理型の経営システムついて
7、国連持続可能な開発目標(SDGs)による目標とは何か
8、人権をベースとするSDGsと目標管理型の経営システム~誰一人取り残さないとはどういう意味か
9、SDGsの17目標、169ターゲット、230指標について
10、SDGs達成のための政策形成ワークショップ
11、SDGs達成のための政策プレゼンテーション
12、市町村の総合計画とSDGs
13、市町村の政策評価とSDGs
14、市町村総合計画のSDGs化について
15、沖縄県のSDGsについて

 
事前学習
地方自治論もしくは地方財政論を受講していない学生は、履修しないことをお勧めしますが、どうしも履修したい場合は、事前に地方自治論または地方財政論の許可書的な本を一冊熟読して臨むこと、それに加え、事前学習は以下の4点を必須とします。

1、沖縄エンパワーメントを読み込む。

現在の沖縄の政治行政制度、政府間財政関係の基本的な枠組みである、沖縄振興体制の本来的目的、現状、問題点を
明らかにしているのが『沖縄エンパワーメント』であり、以下のサイトから、報告書をダウンロードして、事前に熟読しておくこと。
沖縄自治会議サイト=http://okijichi.blogspot.com/2018/06/pdf.html

1、県の取り組みを目標管理型経営システムの観点から診る。

まず、市民起点の、もしくは市民参加型の目標管理型経営システムは、「地域経営」の根幹を支えるものです。公共政策のための目標(課題)、指標及び数値目標については、みなさん、すぐにはとっつきにくいと思います。そこで沖縄限定の経営サイクルの構築のために、徹底的に利用してほしいのが、まず、下にHP張った沖縄県PDCA報告書です。

https://www.pref.okinawa.jp/site/kikaku/chosei/keikaku/pdca/pdca_summary.html?fbclid=IwAR2_Iif14dOvOAYRS19Lfd7WlVllzEIYi05cA35vmnoKezowj-Q3Fbay6jI

 沖縄県の場合は、現行の10年基本計画が「21世紀ビジョン基本計画」であり、これに「目標」(課題)的なことが書かれています。注目すべきは「基本施策」に該当する部分で、基本施策が5分野から成り、それぞれにだいたい7つぐらいの「施策展開」があるという形になっています。

具体的なその施策展開を受けて、それをベースにして、より具体的な取り組み(施策や事業)を書き込み、それぞれの達成目標とそれを図る指標を掲載しているが、「21世ビジョン実施計画」。

 なので、まずは実施計画上の「取り組み」は、必ず基本計画の基本施策のどこかに位置付けられているので、どこに位置付けれれているかを把握すること、そうしないとその取り組みが、基本施策の目的を達成できるふさわしいものどうかの検証ができない。
次に、達成の度合いを示すという指標とその数値目標が妥当なものかどうか、考察して、検証してみること。たとえば、琉球語の普及という基本施策であるにも関わらず、琉球語会話者の人口比率ではなく、しまくとぅばの日のイベント参加者数を指標にしてはいないか、とか。

次に、県PDCA報告書を開けてみて、基本計画及び実施計画の基本施策ごとに報告書も並んでいるので、実施計画上の取り組みが、どう取り組み担当の部署によって評価されているのか、数値目標の達成状況をどう把握し、取り組みの改善をどう考えているのか、県庁の側の考えをつかむこと。

場合によっては、実施計画ではやることになっている「取り組み」を、まったくやらないで、ゼロなのに「遅れている」的な評価でごまかして、予算化できなかったと開き直っている、よそがやっているからウチはやらなかった的な言い訳かこれ、という文書も出てくるので、予算化できなかった理由が書かれているのか、よそがやっていることとウチは違う事業が取り組みができたはずでは、という疑いの目をもって、批判的な検証をしていくこと。

2、市町村の取り組みを診る。

すべての市町村に対して沖縄振興一括交付金事業は、PDCA回すことが前提になっているので、一括交付金事業については、基本計画上の基本施策(目標)のどこに位置付けられる事業なのか、そして目標や指標数値目標がすべて整っています。

県のHPには全市町村の全沖縄振興一括交付金(特別推進費)事業の評価シートが掲載されています。
https://www.pref.okinawa.jp/…/suishinkofuk…/koufukintop.html

これは、市町村の行政に対する非常に有効な統制手段になります。自分の市町村のHPには掲載されていない方は活用を。

第一回のレポートでは、この市町村一括交付金事業について、自分の興味関心のある事業について、一つを選択し、その評価シートにおいてどのような評価が、市町村行政によってなされているのかを抽出し、その評価の妥当性について、一人一人に評価してもらいます。

3、国連持続可能な開発目標の理解と市町村地域経営への活用

SDGsの達成目標は、国際的な基準で「人権」を捉え、全人類の人権保障の水準を上げていくことが最重要な基盤的目標であり、環境も経済も最も脆弱な人々が持続的かつ取り残されず包摂されて生きていくことのできる「権利」を保障する基盤に基づいて目標が設定されている。

学生それぞれが居住するあるいは出身の市町村の総合計画実施計画等の目標(課題)及び施策、基本施策等が、SDGs目標及びターゲットのどれに該当するのか、どのような指標が状況把握のために設定されていて、どこまでその指標=状況を改善する必要があるのか、一つ一つを丁寧に診ていく。

国連SDGsとは何か、その目標・ターゲット・指標をダウンロードし、自分の市町村の総合計画実施計画と施策をダウンロードして入手しておくこと。

SDGs全般についての説明の例=https://miraimedia.asahi.com/sdgs-description/
https://imacocollabo.or.jp/about-sdgs/
SDGsターゲットと指標のURL=https://www.janic.org/wp-content/uploads/2018/03/indicators_list_sdgs.pdf

できれば、SDGs目標と自治体総合計画基本施策等との関連表(マトリックス)を作っておくこと。
 
事後学習
事後学習については、以下の通りとします。

1、宮本憲一他『沖縄論』岩波書店2010年を読むこと
2、島袋純『沖縄振興体制を問う』法律文化社2014年を読むこと
3、島袋純『21世紀の沖縄の自治』沖縄県市町村会2008年を読むこと
 
教科書にかかわる情報
 
教科書全体備考
 
 
参考書にかかわる情報
参考書 書名
『沖縄論』
ISBN
備考
著者名
宮本憲一他
出版社
岩波書店
出版年
2010
NCID
参考書 書名
『沖縄振興体制を問う』
ISBN
備考
著者名
島袋純
出版社
法律文化社
出版年
2014
NCID
 
参考書全体備考
 
 
使用言語
日本語
 
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